たまにひとり旅。
まえまえから気になっていた奥南砺エリア。
井波、城端、福光、福野…のちょっと同じ富山県ながらなかなか馴染みの無いその4つの町。
そもそも興味があったのは、それぞれ町そのものというよりも、いい感じの蕎麦屋を探す事が目的だったんだけど、いつぞやの岩瀬町を訪れた際の「地元だからこその知られざる世界」が物凄く刺激的かつ新鮮で、いや、灯台下暗しじゃないが、もしかして他にも隠れた宝の旅情地があるんじゃないか? … という部分で、その四つの町にスポットを当てたワケだ。
今回はそのうちのひとつ「井波町」へ。
一応、後々に奥さんと宿泊を兼ねての小旅行的な計画を置いていた町だったので、まあこれを機にに下見がてら訪れてみた。
ザックリとは下調べはしていたけど、やっぱりその場所の空気感や、ポイントポイントの位置関係など、実際にそこに行ってみなければその街のホントはわからない。
で、予めチェックしていたお店はひと通り歩きながら探し出して、大体の街の雰囲気も楽しみながらも良い感じでインプットできた。
時間的にもお昼を半分過ぎたタイミングだったし、いくつかチェックしていたお店の中のひとつにあった「福光屋」という蒲焼き屋でお昼ご飯にすることにした。
とんでもなく晴れたド快晴の日。
街並みを包み込むかのようなまわりの山々がなんとも言えないくらいのインパクトがあって、町との位置関係というか、バランスが絶妙。
平日という事もあってか、街にはほとんど観光している人らしきものは無く、そのありふれた日常感がまたその町の本当を演出していて良かった。
井波は木彫りの町として有名で、至る所に彫刻作品の展示や細工屋があって、それがうまく街のカラーを作っていた。
特に、井波のシンボル「瑞泉寺」は圧巻で、あのとてつもなくインパクトある宮細工は、まさしく彫刻の要塞。(本社は工事中だった。残念。)
町自体はとてもコンパクトでそんなそんな見どころはないのだが、次は奥さんとゆっくり周る事にしよう。
おっと…いつの間にやら1時になりかけているので少し西へ離れてしまった鰻屋へ慌てず急ぐ。
と言っても瑞泉寺からは5分少々で店前に到着。
店自体そこまでの老舗感はないけど、昭和の食堂的な雰囲気がたまらんね。
いざ、中へ入ると他のお客は居らず、貸切。
小上がりに入らせてもらい、うな重とキモ吸いとお持ち帰りでドジョウの蒲焼きを五本注文。
店の外見と同様に店内もこぎれいで、これまた昭和の空気感がとても良い。
ほどなくして、うな重と吸い物が運ばれてきた。
これだよ。これ。
全く1ミリも期待を削ぐことのないビジュアル。
雑誌類の中にいくつかこの店が掲載されたものがあって、パラパラとめくってみると、このお店、鰻屋界隈では有名店らしい。
と言ってもそもそも、この時代に鰻屋自体稀少なものなんだろうけど。
どじょうとなると尚更だと思う。
平成生まれとかだと未知の食べ物なんだろうな。
とにかく実食。
味付けは少し甘めだが、うなぎの脂のノリが絶妙。
後味にクセが少し残るが、これは天然のうなぎである証。
どこで捕れるんだろうか。
そして肝吸い。
出汁にうなぎのキモがダイレクトに挿入されている。
味?というかその佇まいがオツなんだろうが、個人的にはこの食感は苦手… モツはコリコリとした歯応えがあって良いんだけど、味自体は…わからん。
帰りにお持ち帰りのどじょうの蒲焼きを受け取り退店。
早速、帰りしなにそれに合わせるお酒を買い、どじょうをいただいてみる。
お酒は「后」を選んだ。今回は白ラベル。
井波であればやはり「三笑楽」なんだろうな。
まあそれは次、五箇山豆腐と合わせていただく事にしようか。
気になる蒲焼き。
歯応えはほどよく、骨も気になる事もなく食べれる。
そして驚く事に泥臭さが全く無い。
うなぎは少々くさみがあったので、どじょうともなると更に泥臭さが残ってるのかと思ったが、びっくりするほど臭みもなく、味付けもうなぎほど甘めじゃないので、お酒の肴としてはかなり優秀。
まあ、うなぎほどコッテリとした脂もないゆえの臭みの無さなんだろうけど、これはめちゃくちゃ気に入った。
また買いに行こう。うん。
今回は、井波を周ってみたが、他の城端や福光、福野にも鰻屋、またどじょうの蒲焼き屋があるので、今回の福光屋と食べ比べるのが今から楽しみで仕方ない。
実食の暁にはまたウナレビューします。