最近ちょっと遠出続きでちょっとお疲れ気味。
暑さも若干は和らいだが、日中はまだまだ35℃超えの日が続く。
こうなると陽の下を歩き回るのはちょっとしんどいね…。
でも奥さんとの休日はかけがえのない大切で貴重な時間なので無計画で過ごすのは勿体無い。
ゆっくりとふたりで今日の旅先を選定する為に、我が家の横の小さな山の上にある喫茶店へ行き、そこで今日の行き先をミーティング。
この喫茶店は、トレランの際に横を通るが一度もお邪魔した事が無かった。
山側に大窓があり、夏でもしっとりとした景色がうかがえそうでいつか訪れたいと思っていた。
個人的には、絶景というよりももっとひかえめな慎ましさというか、どこかしら憂いがあるこの建物全体にとにかく心惹かれる。
薬膳料理が売りなようだが、僕は胡麻の入ったミルク、奥さんはカフェモカ?を選んだ。
窓際はカウンターになっていて、一息つくにはこれ以上なく今の2人にはあつらえ向きな場所。
ドリンクの味も、どことなくしっとりとした景色も、店の静かな空気感も全て優しくこころ落ち着く。
二人の近況報告を入り口に、やんわりと本日の旅先を奥さんに提案してみる。
提案の内容は近場でのぶらり旅。
旅….というよりも美味しいものを探しにお隣の石川県まで。
とある旅動画で観て、前々から気になっていた石川県の医王山の麓にある「岩魚茶屋」が目的地。
岩魚料理といっても、それ自体は珍しくないのだが、ココに惹かれたのは「ゴリ」。
あの陶芸家、美食家の魯山人が愛した…ってやつね。
ゴリとはここらの地方名で、淡水ハゼ全般の総称らしい。
細かいこと言うと、金沢でのゴリとは小型の鰍(カジカ)の事で、加賀料理、金沢の郷土料理なのだそうだ。
わが富山ではあまり馴染みがない。
とりあえず一見は百聞にしかずというわけで、静かな道を選びゆっくり目にスタート。
大体1時間ちょい車を走らせ、ほんとにこんなとこにお店あるの?…という感じの細っい林道をひた走るとポツンとした茶屋を発見。
その佇まいがもうすでに良い。
予約はしていなかったが、こころよく奥の間へ通していただき、早速メニューに目を通す。
僕は迷わず「ごりそば定食」。
奥さんも同じメニュー。
最初に運ばれてきた山菜の付け合わせ(きゃらぶきの佃煮とヨシナのつゆ漬け)。
これがまた絶品で米が欲しくなる。
やっぱりその土地に見合った…というか、その土地で産まれた作物が問答無用で1番美味しい。
山間部の飯屋で、いくらキトキト新鮮な鰤のお刺身だとしても、それは飯屋の際の沢でとれた岩魚の塩焼きには絶対的にかなうはずがない。
山のものは山で食べるのが1番美味い。
そして次に運ばれてきたのが岩魚の田楽。
もちろん岩魚もさることながら、味噌のなんとも言えない優しい甘みがたまらん。
そしてメインの蕎麦。
そばは奥さんも僕も大好き。
これほどシンプルながらもダイナミックでインパクトがある料理は他に無いよね。 絶対無い。
なんの飾り付けも必要ない。
日本の真髄的料理。
味にしても絶品じゃなくていい。
いや、普通で素朴であればあるほど絶品なんだよね。
派手に周りを飾る必要は全くない。
素材のままダイレクトが一番惹かれる。
そう思うのも歳のせいかな〜?
店の横を流れていただろう沢も涸れ沢に。
今年は雪も少なくどこも水不足。
人が生きる上で水は絶対的に必要。
不必要なものは溢れている。
必要なものは枯渇していく。
いったいどうなる事やら。
お蕎麦は最高に満足。 ご馳走様でした。
帰り道はゆっくりと。
奥さんの登山用のハットを探しにアウトレットとスポーツ用品店に寄ったけどお気に召すものが無かったみたい。
「もうちょっとの気に入ったワンポイント」が見つからない…って言うパターンはめちゃくちゃ難しいから、コレコレ!っていうのを見つけるまでまあまあ時間かかるだろうな。
ちょうど晩御飯の時間に近づいていたので大戸屋さんに入った。
やっぱ和食がいい。
和食は四季に合わせた…四季それぞれに美味しく採れる食材がちゃんとある。
暑い季節には身体に優しく涼を感じられる料理、また寒い季節には、心から温まる料理が色々あるから、悩まず安心してお店に入れるよね。
ネガティブな思いじゃないけど、歳を重ねると段々と日本人が完成されていく実感がくる。
日本食やお酒や景色や土地。そして匂い。
風情や侘び寂びが凄く心地良くて気持ちいい。
近代化、現代化は常にある世の中だから、それらが無くなっていくのは仕方の無い事だけど、だからこその憂いや哀愁といった日本の美が生まれるのだろう。
今日もそろそろお終いの時間。
また最初にスタートした自宅の裏山へ戻り、奥さんと夜景鑑賞しながら静かにおしゃべり。
また素敵な時間と場所を見つけにいきましょう。